社歌を覚えて入社式会場へ移動し、無事に入社式が終わりました。
鬼「ではこれから宿泊施設に移動します。バス乗り場では速やかに席順通りに整列すること。お手洗いも今のうちに行っておいてください。20分後にバスは出発します。」
そう言って一旦消える鬼。
前の交流会の先輩がお気の毒・・・という顔をしながら
「頑張ってきてね・・・」と手を振ってくれました。
この地獄の入社式をこの先輩も経験したのか私たちの出来が悪くて鬼になったのかまだ分かりません。
始まる前に心が終わった私たちは肩をすぼめてバスに乗り込んだのでした。
しばらく乗ると景色が自然なものへと変わります。携帯は使用禁止なのでみんなただ景色を眺めます。
「これってどこまで行くんですかね」
テオくん頑張れのテオくんに似た隣の同期が話しかけてくる。
「そういえばホテルで宿泊研修としか書かれてなかったですよね」
テオ「逃げられないようにこんな何もないところまで来るんですかね。入社式のホテルだとすぐそこに電車通ってますもんね。」
「・・・・・・」
国家試験の勉強を頑張りながら6回もの選考を乗り越えた結果がこれ。
人生きしょすぎると思いました。
1時間30分ほどしてホテルに到着。周りは自然オンリー。
鬼「一般のお客様もいらっしゃいます。A棟を丸ごと貸切っていますのでそこ以外は入らないようにしてください。」
ホテルの部屋の案内とグループを渡されます。2~3人部屋で割り当てられるのですが私はラッキーなことに2人部屋でした。さっき席が隣だったテオくんも同じグループでした。
自分の部屋に付くともうすでにもう一人が荷ほどきを始めていました。
「おはようございます。よろしくお願いします。」
その背中に挨拶をすると同期が振り向きます。
女優の吉田羊さんに似ているので羊と呼びます。
羊「よろしくおねがいします・・・あの良かったらタメ語でもいいですか?あんな感じの研修が続くならせめて部屋ではリラックスしたくて」
「あ、はい。てかさっきの入社式どう思った??」
羊「いや、やばすぎ。荷物預けてなかったら帰って転職活動してた」
「それな」
同じ価値観を持った人で安心しました。後から聞いた話ずっと敬語の部屋もあったみたいで人運ツイてました。
安心したのも束の間、何か放送が流れているんです。僅かに鬼の声がします。
慌てて廊下に出る同期たち。
「なんも聞こえんまま終わった」
羊「あーもう終わった。絶対また怒鳴るわ」
聞こえた(?)同期は慌てて部屋に戻る。いや、待ってくれ、教えてくれ
「すみません!!放送が聞こえなくて!!なんて言いましたかあの鬼は!!」
同期「ああ!10分後に地図の会議室に筆記用具と教科書持って集まれって言ってましたよ!!」
廊下にいた他同期には伝言ゲームのように次の指令を伝えられました。
しかし何部屋か聞こえてないのか出てきていないような・・・。
案の定会議室にいくつか空席ができる。
地獄の空気。約束の時間から5分経っても空席は埋まらない。
鬼「・・・今ここにいるあなた達は自分さえよければいいと思っているんですかね。放送が聞こえづらいのは私が悪かったです。でもどうして誰も迎えにいかないのですか・・・??」
(誰かさっさと迎えに行け)
多分みんなこう思っていました。ドア近くのグループが渋々出ていきました。
シーーーーーンと継続して流れる地獄の空気。
すみません!!ありがとうございます!!いやーおかしいなあと思ってwと場違いな声が外から聞こえてくる。
(頼むから黙れ。申し訳なさそうに入って来い)
ドアが開く音がしてだらだらと軽く会釈をしながら入ってくる遅刻同期たち。
(クソクソクソ・・・・・・・)
鬼「何分経ったと思ってる!!!!おかしいと思ったなら何故探さない?!聞かない?!座るな!!理由を言いなさい!!!!」
さっきぶりの怒鳴り声。鬼の喉は果たして4泊持つのか。
最悪の空気で研修がスタートしました。
つづく